講談・英語の歴史 (PHP新書)

講談・英語の歴史 (PHP新書)


講談・英語の歴史 (PHP新書) 講談・英語の歴史 (PHP新書)
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   口述筆記で英語の歴史をたどった1冊。門外漢にとってはかなり高度な内容も含まれているが、柔らかな語り口調と、「講談」に擬せられた自由な「脱線」とが、本書を素人にもなじみやすいものにしている。

   著者は、英語史を学ぶにあたって、ドイツ留学を経験したという。なぜドイツだったのか。本書の記述はこのあたりの説明からスリリングに開始され、以降ほぼ全編にわたって、ヨーロッパ世界での英語の履歴紹介に費やされている。

   一読して感じるのは、言語というものに否応なく現れた、現実世界の痕跡に対する驚きであり、また我々が英語にこれだけコミットしていながら、ヨーロッパ世界のリアルな姿について、いかに無知のままで生きてきたかという驚きである。「まえがき」に、「英語という現在の国際語が、いかに卑小な起源を持ち、不幸な歴史を持ちながら今日に至ったか」という1句がある。歴史地図を手に本書を通読すれば、読者は通史を概観する楽しみに加えて、物事を相対化するという歴史の重要な役割について、あらためて実感することができるだろう。

   著者は、全編を通じて、英語に「大和言葉」にあたる部分が存在することも指摘している。その記述に従いながら、既知の英単語を、目から鱗の驚きで見直すことができれば、著者も弁士冥利につきるに違いない。そして、そうなってこそはじめて、終章の英語教育に関する簡略な提言が、実質的な説得力をもつのである。(今野哲男)


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■英語のドラマチックな歴史を独特の口調で 評価4 日付2007-02-11
 英語というインドヨーロッパ語族の中では傍流に過ぎなかった一言語がいかにして世界語となったか。その歴史は波乱万丈で、物語性にあふれている。
 本書は、親しみやすい講談調で、様々なエピソードをおりまぜて、いかに英語という言語がゲルマン語から成立し、フランス語やラテン語の影響を受け、現在の姿となり、世界語となったか、非常にわかりやすく説いてくれる。
 なぜ英語にはフランス語が多いのか、つづりに問題が多いのか、ドイツ語との違いなど、様々な英語学習の疑問点を解いてくれる。

 英語学習や教育には大いに資するところがあるだろう。ただし、厳密な学術的な根拠に疑問がある点や、政治的に必ずしも本書の趣旨と関係ない話題などにおいて、好き嫌いがわかれるだろう。
■英語学者の「雑談」 評価4 日付2006-01-02
 言語とは本来、総合的なものであるはずのものです。その単語の意味、綴り、使われ方一つ一つに歴史や文化はもちろん、それを使う人々の性格やその当時の思想まで、無数の要素を織り込んで現代に至っているものです。それはただ、この単語の来歴は、とかこの用法の変遷は、などを問うばかりであっては甚だしくその本質を見誤ることになることは必至であり、必ずその歴史的な条件への言及が不回避に求められるものであると信じます。特に本書のような、新書版の入門書に於いては、歴史と言葉がどのように有機的に結び合い、互いに影響され合っているかを示すだけで十分刺激的で、好奇心を満たすこと不足なく、その点から言って、著者はとても痒いところに手の届く題材を選んで英語史を編んでおられると思います。又、私としては、英語史理解の難点だった発音の推移。特に「大母音推移」の説明が簡単であっても分かり易く、その母音の移動を使えば、綴り字と発音の関係からその単語が英語に入ってきた時期が推測できるなど、発音変化からただ音の動きのみが分かるに止まらないことを知り、新鮮な驚きを覚えました。他にも著者の言うところの「雑談」には啓発されるところ多く、印欧諸語に見られる共通の言葉から、その故郷を探り出そうという試み。これを知れば人の名を知るのも数倍楽しくなるであろう、一目でアングロ・サクソン系かケルト系かとその人の系譜が読み取れてしまう、それぞれの名前に見られる特徴。スティーブンソンが作ったゲルマン系単語のみの詩と、その背景にある心情との関係。みな非常に興味深いものばかりであります。
 たしかに私でも何が出典なのか疑問に思う箇所もあるにはありますが、それは著者一流の放言として敢えてそのまま受け入れるとして、本書は非常に有意義な教養書であると言えると思います。
■英語の読み物 評価3 日付2005-11-27
英語史を簡潔にまとめ、且つ様々な小ネタを交えた本書は、著者の狙い通り、読み物としてはお勧めである。英語の知識を増やしたい人や、英語学を志す人は目を通しておきたい一冊である。
反面、歴史の記述には不快な点も見られる。例えば細かい話であるが、ノルマン・コンクェストに関する記述において、なんの断りもなしに「神聖ローマ皇帝ハインリッヒ四世」と表している。しかし当時のハインリヒは皇帝戴冠はしていなかった(戴冠は十年以上先の話)。ここは「国王」とするべきであろう。
以上のようなことを総合して、これくらいの評価が妥当といえようか。
■英語の歴史入門 評価4 日付2004-07-23
この本は英語の歴史について分かり易く解説した本です。英語史というと難しく考えがちですが、この本は新書サイズでページ数も少ないので入門書として非常に読みやすいです。英語通になりたい人、歴史に興味ある人にお勧めです。
■「成り上がり」英語史 評価3 日付2002-10-03
 ゲルマンの一方言から国際語の地位を固めていった英語という言語の「成り上がり」の物語。
 ドイツ語と起源を同じくするものとして英語を分析し、英語の範囲内だけでは語形の説明が難しい語をドイツ語の規則から説明する部分はとても分かりやすく、今まで頭の隅に溜まっていた小さな「?」が氷解していくのを感じました。

 古英語から中英語→近代英語→国際語としての英語と順を追って歴史を見ていきながら、ヴァイキングの言葉、ラテン語、フランス語などを取り入れていく英語の姿を簡潔に説明してくれています。また、古い英語が外来語を取り入れて現在の英語になっていく姿を、やまとことばが外来の漢字や西洋の言葉を取り入れて現在の日本語になっていく姿になぞらえて説明しているのは非常に解りやすく、英語の変遷の様子を身近なものとして感じることができました。

 さらに著者が学校の英語教育と国語教育に言及している最後の部分では、一つ一つの意見がうなずけるものばかりでした。教室で学ぶことの特性を無視しての英語教育、「読む」「書く」「話す」ことの違いを無視していたずらに「話す」ことに偏った英語教育、個々の必要性を無視してみんなに同じことを教えようとする英語教育は間違っているという意見には全くの同感です。
 ただ一つ、この本の難点を挙げると、文章のところどころに差別的と思われる表現が見られることです。

 中国という言葉を使わずに「シナ」という言葉を使い、「大韓民国」の「大」の字は、旧宗主国の「大日本帝国」の「大」に倣ってつけたものだ、と主張するのは、あえて言及しなくても本文には関係のない部分であるだけに、読む人によっては不快に感じるかもしれません。
 そういった部分を除けば、全体的によくまとまった読みやすい本だと思います。
 


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